九二日マラソンのフライングについて

 会期は明日から始まるが、前日の今日、さっそく作品を一つ制作しアップロードすることにした。ルールは破られなければいけない。マラソンならば、フライングから始めたい。ということでスタートの銃声が聞こえる前に、私は身の内の声に駆り出されれ走りだしてしまった。

 はじめからルールを破ることで、今後の信頼も失ってしまったかもしれない。それについていえば、そもそも所属している(とも思っていないのだが)グループ新・方法では"無作品″という、タイトルだけ作ってあとは何も作らないというようなものも発表している私に、九二日間連続で作品を制作しろとは何事だろうか。九二日間連続で作品を制作した後の事を思うと、それまでの事を思い出して感動の涙がちょちょぎれそうである。

 九二日間も連続で何かを制作する。風を切り身体を躍動させるマラソンに比して、制作者をどれだけ長く制作現場に固定し、神経をしびれさせることだろうか。もはやマラソンは関係無いだろう。本当にどこかを走ることでしかマラソンと関係付けられる気がしない。しかし走る気も無いし、あまつさえ私は何も作る気がしないのだ。

 九二日間という日数が距離だとするならば、何も作らなくても走り切ることができる。できることなら何もやりたくないが、その通り何もやらなくても時間は過ぎるし、無理やり何かを否定して制作をしなくても自動的に走り切ることはできる。非破壊、非創造の日々を遊び半分でやり過ごすことは、無数にありうる方法の一片でしかない。ならば、誰よりも早く、速く、疾く、駈け出そう。型破りをしようにも、型さえ決まっていない中、いち早くたすきを負って駈け出した私は、型そのものを作り出してしまったのだろうか。どうはみ出すべきなのかは未知数である。秋風が追い立てた熱気を追うかのように、空を切って走り始めた。

平間貴大写真展「2006年、何も覚えていない」

会期:2016年9月10日(土)~11日(日)、17日(土)~19日(月・祝)
開廊:13:00~19:00
会場:space dike
住所:〒111-0021 東京都台東区日本堤2-18-4
   東京メトロ日比谷線三ノ輪駅3番出口 徒歩5分
入場料:300円
*同会場2階では秦雅則 個展「二〇〇六年 何も覚えていない」を開催しております。

■イベント(※イベント参加費には入場料が含まれています)
9月17日(土) 17:00~ トーク(秦雅則+平間貴大)
参加費:500円+ワンドリンクオーダー
9月19日(月・祝) 17:30~ 座談会(秦雅則+平間貴大、space dike)
参加費:入場料のみ+ワンドリンクオーダー

http://spacedike.blogspot.jp/

平平

平平

日時:2016年6月6日(月)19:00開場、19:30開演
出演:平石博一、平間貴大
入場料:1500円(1ドリンク付)
会場:円盤(〒166-0003 東京都杉並区高円寺南3-59-11 五麟館ビル201
Tel/Fax : 03-5306-2937
http://enban.web.fc2.com/

■平石博一
作曲家。ミュージック・スペースというグループ展で作品を初めて発表した72年から一貫してミニマル・ミュージック的な作風を追及し続けてきた。作品はピアノ曲などの独奏曲,室内楽からオーケストラ、さらに電子音楽など幅広くあるが、ある種のテクノ・ミュージック,ハウス・ミュージックとも呼べる作風も多い。舞踏ダンサーや映像作家、美術家とのコラボレーションを多く行う。近年はコンピュータ空間音楽パフォーマンスに力を入れている。

■平間貴大
新・方法主義者。1983年生まれ。2010年8月、個展「第1回平間貴大初レトロスペクティブ大回顧展」、「『反即興演奏としてのマラン・メルセンヌ+ジャン=ジャック・ルソー』 『10年遅れた方法音楽としてのマラン・メルセンヌ+ジャン=ジャック・ルソー』同時開催展」、「『最高写真展』『世界最高写真展』同時開催展」。同年9月、新・方法主義宣言。2011年8月、個展「無作品作品展」。2015年6月より野方ハイツメンバー。2016年5月、美術家の中ザワヒデキによって発足した人工知能美学芸術研究会の発起人。