読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「新・方法」第2号

「新・方法」第2号

寄稿と作品から成るEメール機関誌「新・方法」第2号をお届けします。今号の寄稿者は、早稲田大学大学院文学研究科に在籍し日本近代美術史を研究されている石井香絵さんです。


[寄稿]

法主義を地で行く人たち
石井香絵(美術史家)

先月開催された「新・方法 on 棚ガレリ」展は、美學校の本棚の一段を展示スペースとする画廊「棚ガレリ」に元あった本を戻すという展示だった。棚の前に取り付けられた透明アクリル板は開け放たれ、『ガロ』や『ミュージック・マガジン』が隙間なく並ぶその空間は、隣接する本棚や他の段とほとんど区別のない状態と化していた。画廊主は記念すべき第一回目の企画展示で、まさか開廊のためにわざわざ取り出したばかりの本を戻すはめになるとは思いもしなかっただろう。作品のためにわざわざ足を運んだ観客は、まさかただの棚を鑑賞するはめになるとは思いもしなかっただろう。

しかし主義者たちにとっては画廊主や観客はおろか、それが自分たち新・方法主義にとっての初の作品発表の場であるという事実さえ思案の外であったに違いない。その展示は「本棚に展示をする」という与えられた状況における反応の結果でしかなく、またそれ以上の内容である必要がないため展示する本に特別な意味があってはならず、必然的にそこに置かれて最も違和感のない本―つまりもともと置かれていた本を元に戻す行為が採択されたと推測出来るだろう。

新・方法主義者の特徴は、主義の徹底を地で行っている点である。地であるがゆえに活動の予想がつきにくく、こちらの勝手な期待はしばしば裏切られる。結果本展のような誰にとっても得にならない状況を実現させてしまえる愚直さに圧倒されて、最終日に駆け込んだ私はしばらくその棚の前から身動きすることが出来なかった。


[新・方法主義者のウェブ作品]

  • 平間貴大

同一直線上にない3点と、それらの線分からなる図形
http://hrmtkhr.web.fc2.com/new-method/002_j.html
直線とは、太さを持たないまっすぐな線である。
線分とは、2つの点に挟まれた直線である。
図形とは、一定の条件を満たす様々な形状である。

  • 馬場省吾

Date Updating
http://7x7whitebell.net/new-method/shogobaba/002.html
日々更新されていくウェブページ。背景色は更新日の日付に基づく。

ソースと実行第五 - 七番
http://aloalo.co.jp/nakazawa/newmethod/b02/j.html
本連作名にはイデア論と原子論という古典的な二項が含意されている。「ソース」は前者で不滅の論理、「実行」は後者で必滅の感覚に対応する。今回発表する三作にはHTMLのフレーム機能が使われている。この機能は近年使われなくなる傾向にあるため、将来のウェブブラウザでは感覚的な表示がうまくなされない可能性がある。だがHTML文書に記述された論理は将来も不変なため、「ソース」は不滅、「実行」は必滅との図式に合致する。


[お知らせ]

  • 2010年10月10日から20日にかけて「新・方法」が展示を行った「棚ガレリ」のウェブサイトにて、その展示と「新・方法」についてのインタビューが掲載されています。「新・方法」サイト内に和訳も掲載しておりますので、是非ご覧ください。

(原文・英語) http://rad-commons.main.jp/tana/101010.html
(和訳) http://7x7whitebell.net/new-method/interview101019.html


[編集後記]

「新・方法」第2号はいかがだったでしょうか?今号でまだ2回目の配信ですが、早くもエッジのきいた新・方法主義者達の作品を見るのが、私の毎月の楽しみになりそうです。(皆藤)

発行人
平間貴大 @qwertyu1357
馬場省吾 @shogobaba
中ザワヒデキ @nakaZAWAHIDEKI

編集人
皆藤将 @kaido1900

機関誌「新・方法」第2号 日本語版
2010年11月4日発行