美術作品のシステムと作品制作の方法

 美術作品はそれが作品のタイトルと作品の実体を前提とし、美術家は作品のタイトルと実体の制作を行う。この2回の制作過程を経て美術作品は制作される。この作品システムの定義は言語学用語のシニフィアンシニフィエの図式を通して、美術作品の形態を捉えている。まさにこの制約こそ、美術作品に欠かすことが出来ない要件なのだ。
 作品のタイトルを特定しない場合には、便宜的もしくは意識的に「無題」「untitled」等というタイトルが付けられる。同じように、作品の実体を特定しない場合、「無作品」という実体になっても良いはずだ。
 今回私が制作したのは、特定のタイトルはあるが実体が無い「無作品」である。

2011年8月 平間貴大