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「新・方法」第12号

2011年9月4日、「新・方法」は「新・方法主義第二宣言」を発表しました。また、この日をもちまして「新・方法」は結成一周年を迎えました。
寄稿と作品からなるEメール機関誌、第12号をお届けします。今回は二ヶ月ぶりの刊行です。寄稿者は、オノ・ヨーコマルセル・デュシャンを研究された美学修士で美術批評家のはがみちこさんです。


[寄稿]

チェス・マニアのデュシャン
はが みちこ(美術批評家)

デュシャンは、そもそもなぜチェスをしたのか?
現代美術の「父」は、芸術なぞより高尚なチェスを好むふりをしたというお決まりの神話は措いておいて、デュシャンが残した手紙に少しでも目を通せば、純粋にチェスにのめり込む無邪気な青年の姿に出会って面食らうだろう。

「僕の野望はプロ[professionnel]のチェス・プレイヤー(あるいは、反お尻派リオネル[anti−fesses Lionnel])になることです」(註1)

ダダの先導者、ツァラに宛てた手紙がこの調子である。いやしかし、この言葉遊びのように、ダダ的「アンチ」の身振りとしてチェスに勤しんだとも考えられなくない。
デュシャンのチェスへの情熱は、マジだったのかフェイクだったのか、なんとも判断がつかないのだ。

「チェスは僕のドラッグです。まったくね!」(註2)

チェスへの熱狂時代を経て、デュシャンが、美術界について、あたかもチェス盤を眺めるかのような、幾分も引いた視点を持ったのは確かだ。
結局のところ、チェス・プレイヤーのデュシャンはベタだったの?メタだったの?あるいは、メタ・アイロニーってこの綻びのこと…?
チェスとデュシャンに注目してみると、こんな謎に取り残されてしまう。
次の格言にならえば、おそらく謎の答えは各人が信じるように解釈してよいのだろう。

「答えはない、なぜなら問題がないのだから。」

ところで、情報機械のアルゴリズムを用いた制作を実践する新・方法主義者に関しても、彼らが海水浴に行ったり、鳩時計を作ったり、猫を主題に選んだりすることについて考えるとき、同じような肩すかしを食らった感じがしないだろうか。(註3)


1 『マルセル・デュシャン書簡集』北山研二訳、2009年、102頁(37)
2 同書、177頁(96)
3 「海水浴」(C)「新・方法」2011、「鳩時計」(C)「新・方法」2011、「猫」(C)平間貴大 2011


[新・方法主義者のウェブ作品]

  • 平間貴大

モナ・リザ」はレオナルド・ダ・ヴィンチが制作した作品である
http://hrmtkhr.web.fc2.com/new-method/012_j.html
モナ・リザ」は1503年から1506年にかけてイタリアの美術家レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)によって制作された。
現在パリのルーブル美術館に展示されている。

  • 馬場省吾

昇順へのソート 第四番「奇偶転置ソート」
http://7x7whitebell.net/new-method/shogobaba/012_j.html
「昇順へのソート」は方法である。方法は差異を生じさせない。本来的には、「昇順へのソート」は具象化され得ずとも作品としての強度を持つ。方法の具象は直感のためにある。

ソースと実行第六六 - 六九番
http://aloalo.co.jp/nakazawa/newmethod/b12/j.html
2011年現在、ウェブ頁の構造に関する情報はHTML(またはXHTML)で、外観に関する情報はスタイルシートで記述することが広く行われている。本連作でのスタイルシートの使用は今回が初めてである。この四作では共通のXHTML文書、相異なるスタイルシートが使われている。私は「ボックス」を規定する25個の数値に、10から250までの10置きの整数を規則的に代入することで、四個のスタイルシートを記述した。


[お知らせ]


[編集後記]

おかげさまで本誌も発刊から一年を迎えることができました。今後も機関誌「新・方法」をよろしくお願いいたします。 (皆藤)

発行人
平間貴大 @qwertyu1357
馬場省吾 @shogobaba
中ザワヒデキ @nakaZAWAHIDEKI

編集人
皆藤将 @kaido1900

機関誌「新・方法」第12号 日本語版
2011年10月4日発行