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「新・方法」第14号

寄稿と作品からなるEメール機関誌「新・方法」第14号をお届けします。寄稿者は、20202で個展「非周期的結晶」を開催中の、現代美術作家・美術評論家・哲学研究家の古屋俊彦さんです。今月の17日には、「方法と生産物」と題されたトークイベント(ゲスト:中ザワヒデキ)が行われます。


[寄稿]

方法と生産物
古屋俊彦(現代美術作家、美術評論家、哲学研究家)

打製石器の制作によって方法芸術を始めたのは我々ではない。我々は自らをホモ・サピエンスと呼んでいるのだが、打製石器の制作を始めたのは、同属とはいえ我々がホモ・ハビリスと呼んでいる別の種である。少なくとも我々は、まだその時そこにいなかったのである。
方法芸術は身体の延長であるから、生産物はその当事者に帰属する。ところが、現在、我々は方法芸術から残された過去の生産物の全てを自分たちが所有していると思い込んでいる。確かに、打製石器の制作に伴って直ちに生産物の所有が始まったわけではない。
生産物の所有は、継続的な道具の使用からの二重の逸脱であった。逸脱は意図しないかたちで常に起こっていた。その代表的なものは化石であるが、化石はすなわち惰性的な痕跡であって作為的な蓄積ではない。ただ、作為的であろうがあるまいが、いずれにせよ残存することが第一の逸脱の共通のかたちであった。初期の打製石器もこのようにして残存してきた。
そして、化石は改めて発見される。また、化石になるはずのものも発見される。生活の痕跡である死体が、そして生産物が発見される。ここで第二の逸脱が起こる。化石を所有し、化石になるはずのものを所有し加工する、そして、打製石器を所有する。
ただし、このような所有を始めたのも我々ではなかった。我々は結局何をやってきたのかと言えば、方法芸術を別の種から引き継いだだけだった。我々は恐らく、生産物を方法芸術へ還元することしかできなかったのだろう。そのことに関しては、今も基本的な事態にかわりはない。
所有を前提とした生産を始めたのは我々ではなかった。我々は生産物を使用することしか本来できなかった。それがいかに高度な使用であっても決定的とは言えない。我々がようやっと所有に関して先行者に追いついたのは、ごく最近のことである。それも、とんでもない遠回りの末のことだった。
生産物と惰性的な痕跡はその間に際限なく増殖していき、残存物は周りを取り囲むことになった。遠回りによってたどり着いた能力は、紆余曲折を繰り返したせいできわめて多様性を帯びていったが、我々は所有の本来の姿を体得したとはとうてい言えない。我々がたどり着いたのはせいぜい廃棄物への無自覚な従属的所有であり、所有することによって所有され処分されるようになった決定的な隷属の五千年を、かろうじて保ってきたばかりだ。
我々が先行者よりも唯一踏み越えているのは、自らをその都度廃棄し、生産物をもはや当事者に惑わされない状態へと突き放す、その一点につきるだろう。しかし、そうやって我々は生産物から逃れられるわけではない。我々は、生産物を自由に処分しているつもりになっているが、実際には生産物が我々を自由に消耗し自らを拡張し続けているのである。


[新・方法主義者のウェブ作品]

  • 平間貴大

アビニヨンの娘たち」は、パブロ・ピカソが制作した作品である
http://hrmtkhr.web.fc2.com/new-method/014_j.html
アビニヨンの娘たち」は1907年にフランスの美術家パブロ・ピカソ(1881-1973)によって制作された。
現在ニューヨーク近代美術館に所蔵されている。

  • 馬場省吾

昇順へのソート 第六番「挿入ソート」
http://7x7whitebell.net/new-method/shogobaba/014_j.html
挿入ソートは、バブルソートやノームソートと同じように、隣接する数字を比較し、ソートを行う。比較・交換対象が隣接である理由とは、直感として確実だからにほかならない。ちなみにこの場合のソートの過程は、ノームソートと同一となった。

ソースと実行第七四 - 七七番
http://aloalo.co.jp/nakazawa/newmethod/b14/j.html
今回も共通のXHTML文書、相異なるスタイルシートがこれら四作に用いられている。XHTML文書は、一種あたり100個の同一のボックスを三種、すなわち300個のボックスを生成するよう記述されている。スタイルシートは、背景と三種のボックスを規定する25個の数値に、10から250までの10置きの整数を規則的に記入することで記述されている。見え方はウィンドー幅と倍率の兼ね合いや、日本語か英語かの言語仕様によって変化する。


[お知らせ]


[編集後記]
仁義なき戦い」はまった結果、私は齋藤祐平・末度加結婚記念パーティーにこんな格好で参加していました。 http://instagr.am/p/Tx8Hk/ それではみなさま良いお年を (皆藤)

発行人
平間貴大 @qwertyu1357
馬場省吾 @shogobaba
中ザワヒデキ @nakaZAWAHIDEKI

編集人
皆藤将 @kaido1900

機関誌「新・方法」第14号 日本語版
2011年12月4日発行