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「新・方法」第20号

寄稿と作品からなるEメール機関誌「新・方法」第20号をお届けします。寄稿者は、8月にGallery Ajitoでの個展を控えている現代美術家の中島晴矢さんです。中島さんは現在The Containerにて「House 100」展を開催している渋家のメンバーでもあります。


[寄稿]

New−Style
中島晴矢(現代美術家

方法とはMethodであり、Styleでもある。Styleは「文体」とも訳せる。その意味で「新・方法」とは「新・文体」だ、とも言える。「新・文体」にちなんで、文字とアートについて考えてみる。

私は原稿用紙に延々と手書きで論文を書いた際、これはドゥローイングかデッサンなのでは、と思い始めた。フーコーマグリットを論じて言うように、「記号として、文字は言葉を定着することを可能ならしめ、線として、事物を象ることを可能ならしめる」(『これはパイプではない』)からだ。つまり文字は「記号」でも「線」でもある。この両義性は特に、サイ・トゥオンブリに顕著だろう。彼の筆跡=絵画の前で私たちは、「記号の了解可能性」と同時に、「文字の神経質な曲がり具合、インクの勢い、縦横ののびやかさ」といった「文字のコードの働きには必要のない」一切を見出すのである(ロラン・バルト『美術論集』)。つまり、《そこにあるもの》としての文字の「物質性」が顕現するのだ。

とはいえ、漢字という表意文字を常日頃使用している私たちからすると、「文字=絵画」というのは普通の感覚かもしれない。Chinese Characterと訳されることからも自明なように、漢字は「キャラクター」(=個性・性質)ですらある。たとえばグラフィティはまさしくアルファベットのキャラクター化だろう。そこにはナマの主張を訴える言語記号的側面と、アートとしての造形的要素が結び合った、美しいStyleがある。

私の興味の本質はこれらを踏まえた「日本語とアート」にある……が、紙幅も尽きたのでこの辺りで筆を置こう。


[新・方法主義者のウェブ作品]

  • 平間貴大

ロバート・ラウシェンバーグ 《モノグラム》
http://hrmtkhr.web.fc2.com/new-method/020_j.html
《モノグラム》はロバート・ラウシェンバーグが制作した作品である。

  • 馬場省吾

量と境界 第四番
http://7x7whitebell.net/new-method/shogobaba/020_j.html
本作は、シリーズの中で量と境界が視覚的に示される最後として制作された。そのため、ある意味では視覚的な変化に富むこととなる。視覚的な変化は、量と境界を曖昧にするためにある。今作は『昇順へのソート 第四番「奇遇転置ソート」』の、量と境界を示している。

  • 皆藤将

特に意味をなさない数字の羅列
http://masarukaido.com/newmethod/b020_j.html
パソコンのキーボードに0から9までの数字キーがある。それを無作為に打ち数字を羅列した。打ち出された数字は何か意味をなすわけでもなく、打たれた通りにただそこに並んでいるだけである。


[お知らせ]


[編集後記]

第18号の寄稿者であるTaxxakaさんが創刊した冊子『全感覚』に、中ザワヒデキインタビューが掲載されています。その中では「新・方法」についても言及されています。是非ご一読ください。
詳細 http://zenkankaku.cocolog-nifty.com/blog/cat48734278/
第4号でご紹介したグループ「模倣倣」は細く長く活動しています。5月20日には「金環日食」を行いました。
詳細 http://togetter.com/li/306516
5月26日、「δ詩話会」で中ザワヒデキが「方法」と「新・方法」についてレクチャーをしました。記録がありますので、是非ご視聴ください。
詳細 http://www.ustream.tv/recorded/22856713 http://www.ustream.tv/recorded/22858019
5月27日、「House 100」展で行われたトークに皆藤将が出演しました。記録がありますので、是非ご視聴ください。
詳細 http://www.ustream.tv/recorded/22882132
では、次号もお楽しみに。 (M)

発行人
平間貴大 @qwertyu1357
馬場省吾 @shogobaba
皆藤将 @kaido1900

機関誌「新・方法」第20号 日本語版
2012年6月4日発行